自分勝手な行動がもたらす迷惑な事件です。
高知県香南(こうなん)市香我美町の市営住宅(5階建て)で23日夜に起きた硫化水素自殺が原因とみられる異臭騒ぎで、病院で手当てを受けたのは70人と、巻き添えとしては異例の被害者数となった。同市消防本部は「硫化水素ガスは空気よりやや重く、発生した3階から下へ拡散、階上の住民も下に避難したため、被害が拡大したのではないか」とみている。高濃度の硫化水素はひと呼吸しただけで巻き添えになる強い毒性を持つ。専門家は「卵の腐ったような特有のにおいがした場合、すぐ、においのしない方向へ逃げることが大事。ハンカチを口に当てるとなお良い」と話す。
市営住宅は発生現場の2号棟に27世帯、隣接の1号棟に31世帯の計約180人が入居。同消防本部によると、救急車で搬送された21人の大半が2号棟の3階か階下の人だった。自殺した中学3年の女子生徒は浴室に粘着テープで目張りをしていたが、避難前に多くの住民がにおいに気付いており、県危機管理課の担当者も「通報前に、すでに建物内に拡散してしまっていたのだろう」と集合住宅の危険性を指摘する。
しかし、同消防本部は、住民らを屋外に避難させた後、速やかににおいのしないところまで離れるよう指示しておらず、山崎良満・同消防本部次長(45)は「避難誘導に課題が残った」と反省。消防隊員に硫化水素の特性の周知徹底を図るとともに、今後、問題点を分析する。
硫化水素は高濃度になると嗅(きゅう)覚(かく)が妨げられ、異臭が感じられないという危険性もある。鈴木幸一郎・川崎医大教授(救急診療)は「注意の張り紙があっても、家族は助けたい一心で部屋に入るが、ひと呼吸しただけで巻き添えになる」と警告している。
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高知県警は、住民ら75人に体育館への避難を指示していたが、県が中和剤をまくなどして、安全が確認されたため、19時間後の24日午後3時23分に解除した。
■各地で自殺相次ぐ■
23日夜から24日にかけ、硫化水素を使ったとみられる自殺が各地で相次いだ。
大阪府警富田林署の発表では、24日午後6時ごろ、河南町のマンション浴室で大学2年の男性(19)が浴室で死亡しているのを家族が発見。張り紙や洗剤容器などがあった。
京都府福知山市、京都市中京区、兵庫県篠山市、三重県名張市でも、乗用車内などで男性が死亡していた。
(2008年4月25日 読売新聞)